クールな王子は強引に溺愛する
リアムには昼食を部屋でご一緒したいと言伝してもらい、エミリーたちは部屋へと急いだ。
通路を曲がろうとしたところで「エミリー嬢が」という話し声が聞こえ、咄嗟に通路の置物の陰に身を潜めた。今日は隠れなければならないところに遭遇する当たり日なのかしら。と、心の中でぼやく。
声は若い男の人の声で、どうやら騎士らしい。チラリと視界の端に映った人影は、深い群青色の軍服に身を包んでいた。
「リアム元帥は随分とエミリー嬢に入れ込んでいるらしいな」
「閨に篭り、離さなかったと聞いたぞ」
こんなところにまで噂が。
不意に、執心だと知れ渡る必要があると言っていたリアムの言葉を思い出す。
「これでは隣国ラルジュ王国の姫君との縁談は、どうなるのか」
息を飲み、思わず声を漏らしそうになりドレスの端を掴む。胸が、痛い。