クールな王子は強引に溺愛する

「メイソンが作るジャムは一級品よ。でもだからこそもっと高値で取り引きされるといいのだけれど」

 ジャムを作る工程を見せてもらったところ、とても手間暇のかかる作業だと知った。

 野苺のジャムが名産になりつつあるのはうれしいものの、もっと効率よくみんなが潤う特産品があればと高望みしてしまう。

 エミリーの思いを知ってか、メイソンは穏やかな声で語る。

「丁寧にじっくり作るからこそおいしさが伝わるのです。おいしいものは言葉がなくとも通じるものです。きっとアンベリール大国に広く知れ渡るのも、遠い未来ではありませんよ」

「そうね。焦ってはダメね。ありがとう」

 エミリーが名産に心砕くのにはわけがあった。

 エストレリア領は小さい領地だ。
 他の領地では効率性を重視した農耕が考えられ、エストレリアよりも多くの農産物を流通させる力があった。

 エストレリアでは効率を上げるにも限界がある。
 小さな農地ではなにもかもが効率性が悪いのだ。

 次第に傾いていく財政は父が懸命に奔走して立ち直るほど甘いものではなかった。
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