クールな王子は強引に溺愛する

 案内された客室は王宮に滞在していた寝所と引けを取らない広さだった。主にエミリーが着替えるためだけの場所になる、ひとり寝用のベッドの部屋だって、エミリーにとっては十分過ぎる広さだ。

 その着替え室と扉一枚を隔てた先には、広々とした空間に大きなベッドが設えられている。ベッドの傍には、テーブルセットなどの調度品も上品に置かれている。

 部屋に二人きりになると、突如近づかれ距離が狭まった。ドキリと音を立てた胸が、再び離れた距離に切なさを募らせる。

 触れて、キスを、してほしかった。

 降って湧いた願望に恥ずかしくなる。

 ただ荷物を手に取っただけのリアムに、心の中で右往左往しているのはエミリーだけだ。散々寝所を共にし、何度かは体を交えたことだってある間柄で今さらなにをと思う。

 寝る前のお喋りの時間で、心の距離が縮むだけでうれしかった。リアムの柔らかな表情を見られるだけで幸せだった。

 それなのに、いつからそんなはしたない。でも、触れたい。リアム様の心がどこにあるのかわからないのなら、せめて体だけでも愛されたい。

 思い浮かべた自分の望みに自分自身が驚いて、体を熱くさせる。
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