クールな王子は強引に溺愛する
「どうした?」
リアムは不思議そうに顔を覗き込んで眉をひそめる。思わず後退りして、よろめいたエミリーの腰に腕を回し支えると「気を付けろ」とひとこと言って、体を離す。
紳士的な一連の仕草に見惚れてしまうのに、寂しくもあった。
強引に奪われた初夜から毎夜求められた頃が遠い昔のように思える。エミリーに執心だと噂さえ広まれば、それで良かったのだろうか。
リアムの心が掴めずに、小さくため息を漏らすとリアムは想像し得なかった話を始めた。
「とりあえずはここで落ち着ける。まずはエミリーのドレスをたくさん用意させよう。城で作ったところですぐに出るつもりだったために、落ち着いてからにしようと思っていたのだ」
「ドレス、ですか?」
面食らっていると、次々に言い連ねられ戸惑いを隠せなくなる。
「伯爵夫人として相応しい振る舞いと装いを……エミリー?」
突然の結婚に戸惑って、言葉通りなにも持たずにリアムの元に嫁いだ。傾きかけた貧乏貴族の娘。本来なら必要な持参金も、エミリーの知らないところで免除されているだろう。