クールな王子は強引に溺愛する
その自分を捕まえて身なりだけ伯爵夫人に相応しくしろと言われても、簡単に変われるわけがない。
それどころか『伯爵夫人として相応しい振る舞いと装い』と求められると、『お飾り妃』と揶揄された通りだったのかと勘ぐってしまいそうになる。
「ドレスは、またにしようか」
ため息混じりに告げるリアムは、落胆を色濃く浮かべる。そして大きく息を吐き、自身の髪をかき回した。
「疲れているか? エミリーの両親にも顔を見せに行こうかと思っている」
これには思わず目を輝かせ、「エストレリアに行けるのですか?」と前のめりになる。
「ああ。……ドレスよりもこちらの誘いの方を喜ぶとは、少々落ち込むがな」
リアムが自嘲気味に呟いた後半の言葉は、喜びをはちきれさせんばかりのエミリーには聞こえなかった。