クールな王子は強引に溺愛する
リアムはエミリーの質問には答えずに、辺境伯の重要性を語る。
「辺境伯は隣国が攻め入ってくる抑止力にならなければならない。力のある者が治め脅威を見せつける必要がある」
辺境伯の爵位は伯爵であるものの、伯爵の中では桁違いに力がある。それだけ重要な立場なのだ。
もちろん王子の座には遠く及ばないにしても、王国の情勢にも関わってくる。
「帝国軍の元帥となれば、力は内外に知れ渡る。俺はクリフォード辺境伯領を治め、王になる兄を助けたい」
固い決意を聞き、エミリーは頬を緩ませる。
「私は『リアム様となら、どこへでも』とお伝えしましたのに」
「ああ、そうだったな」
木漏れ日の中、蹄の音だけが響く静かな森を行く。空気の澄んだ大好きな風景。
「それに私はエストレリアの出身ですわ。リアム様は私の故郷を侮辱なさるのですか?」
「いや。そのようなつもりでは。そうか。そうだったな」
穏やかな空気が二人を包み、ここ数日のぎこちなさが薄れていくのを感じる。