クールな王子は強引に溺愛する
「エミリー。野苺ジャムがとても評判で、今年の分がもう売り切れてしまいそうなのだよ。これも全てリアム様のお陰だ」
驚いてリアムを見つめる。
今までも野苺ジャムをおいしいと言ってくれる人はたくさんいた。けれどそれに反して売れ行きは緩やかで、年内に全てが売れれば御の字だった。
それがまだ収穫して1ヶ月程度。このような事態は初めてだ。
名指しされたリアムは首を横に振る。
「なにもしていませんよ。ただおいしいジャムを知ったので人に勧めただけです」
「だからですよ。王都の貴族の方を中心に、高くてもいいとまで言っていただいて、値上げもしたのですが、それでも売れて」
王宮に着いたばかりの頃。陛下との晩餐に、野苺ジャムを使うよう申し付けたと話していたことを思い出す。『とても評判がよかった』と言われ、うれしかった思いが蘇る。
「あれは、エストレリアを救うためですの?」
「なんのことだ。ただ野苺ジャムがおいしいから売れたのだろう?」
リアムは全てわかっていたのだ。その上で陛下との晩餐に野苺ジャムを使わせ、そしてこの段階でプラムまで。
胸がいっぱいになって、息を大きく吸い込むと両親に報告する。
「ここに来る途中に、プラムというジャムにできそうな果物があったの」
目を瞬かせ、顔を見合わせる両親にエミリーは微笑んだ。