クールな王子は強引に溺愛する
両親と土産話に花を咲かせたあと、エミリーはリアムと連れだって調理場へプラムの入った籠を持ち込む。
「こ、これはリアム王子!」
跪こうとする調理長のメイソンを手振りで制止する。
「邪魔をして悪いが、どうジャムを作るのか興味があったのだ。もう王子でもなくなる。固くなるな」
王子でもなくなる……。まだ王子の座は退いていないのかしら。
クリフォード卿と話したときには、既に王子ではないような素振りであったのに。
詳しくはわからないが、辺境伯になりたくてもなれない事情があるようだ。その辺りがすっきりすれば王子ではなく、辺境伯爵になるのだろうか。
リアムは、恐縮しきりのメイソンにあれこれ質問をして、鍋を覗き込んでいる。
腕組みをした高貴な方に観察されながらの作業はやりづらいだろうなあと、メイソンを不憫に思いながら二人を見つめる。