クールな王子は強引に溺愛する
メイソンにプラムはおいしいジャムに出来るというお墨付きをもらい、エストレリアの名産がまたひとつ増えそうな手応えを感じる。
そうと決まれば残りのプラムを取りに行ってもらえるように、ジョージに頼まなければ。
農場まではすぐだからと言ったが、そのままクリフォード辺境伯領に戻る流れとなり、馬に乗る。
「エミリー。またお披露目会でな」
両親に見送られ、屋敷を後にした。
馬で走ると、狭い領地だと改めて目の当たりにする。目と鼻の先ほどの距離の農場で人を探す。辺りを見渡すと、蔓を巻いたエンドウ畑の間で腰を屈め、黙々と収穫をしている人影。
「ジョージ!」
「エミリー……お嬢様」
顔を上げたジョージは、リアムをも視界に収めると帽子を取った。
「やだ。ジョージにお嬢様だなんて呼ばれるとむず痒いわ」
リアムは、屈託ない笑顔を向けるエミリーを見つめ、今すぐに馬の腹を蹴り、駆け出したい気持ちになった。しかしどうにか平静を装う。
ジョージはリアムを気にしつつ、「やめろよ。もう世界が違うんだ。しっかしろよ」と窘めている。