クールな王子は強引に溺愛する
懸命にプラムのジャムについて頼んでいる姿を静観していたが、いつまでも話がまとまりそうにないため助け舟を出す。
「ここからクリフォード辺境伯領の屋敷を目指して行けば、おのずと辿り着く」
話に割って入ったリアムに、ジョージは顔を向けた。その眼差しに親愛の色は映し出されていない。
それでもジョージは丁寧に言葉を選んで意見した。
「ですが、勝手にクリフォード辺境伯の領地に侵入して取るのは罰せられます」
聡明な青年だ。力だけに屈する者ではない様子が、強い眼差しから見て取れる。浅黒い肌は日に焼けたからだろう。畑仕事をしているために体つきはしっかりとしており、男の大人そのものだ。
「俺は後にクリフォード辺境伯爵になる予定だ。その妻にエミリーを迎える。俺が領主になった暁には妻の故郷との友好関係を示すために、クリフォード辺境伯領の森を自由に使える権限を与えよう」
「ありがたき幸せにございます」とジョージは跪いたが、そのまま見下ろし「行こう。エミリー」とだけ言って手綱を引き、その場を離れた。
ジョージに対し寛大な態度を取れるほど、心の余裕はどこにもなかった。