クールな王子は強引に溺愛する
前屈みに騎乗し、心の求めるままに加速する。速度を落とさず森に侵入し、木々を避けながら進む。生い茂っている草木の枝葉が、矢継ぎ早に後方へと流れていく。
風と一体になる感覚は胸に爽快感をもたらせるが、今はそれさえも足りない。
無心で馬を駆けさせていたリアムは、震えているエミリーに気づき、緩やかに減速させた。
しかし無心であったが故に忘れていたエミリーの存在を嫌というほどに感じ、燃え盛る嫉妬心に己を見失う。
愛馬を木のすぐ近くに立ち止まらせると、素早く手綱をくくりつけ、エミリーを後ろから抱き竦めた。
「リ、リアム様?」
少し怯えた声が更にリアムを苛立たせる。
さきほどのジョージとやらには、愛らしい笑顔を向けていたではないか!
あれほど帰りたがっていたのは、あの男がいたせいなのか。
身分違いの結婚を気にしていたのは、あの男のためなのか!
渦巻く嫉妬心に飲まれ、リアムは抱き竦めたエミリーの顔を横から覗き込み、無理矢理に唇を奪った。
「いやっ」
様子の違うリアムに乱暴な口付けをされ、戸惑いと恐怖に襲われる。