クールな王子は強引に溺愛する
抵抗しようとしても馬の上の不安定な状態では、自由に逃げられない。
押し除けようとする手を掴み、首筋に噛み付くようなキスをする。そしてドレスをたくし上げ、露わになった脚に手を滑らせ柔らかな腿を捕まえる。
「やっ、おやめください」
悲鳴にも似た声は、リアムに届かない。
どうしてこのような……。
エミリーの悲痛な訴えに反応を示したのは、黒毛馬だった。ぶるりと顔を振り、耳を震わせた。そして突如として嘶くと後脚で立ち、前脚で宙を蹴った。
咄嗟に片手でエミリーの腰に手を回し、もう片方で手綱を引き寄せる。
「ドウドウ。悪かった。興奮させたか」
愛馬を落ち着かせようと発した自分の声に、リアムは自制心を取り戻す。
捲れ上がったドレスを元どおりにし、手綱を両手に握る。手綱を握るために腕を動かしたその動作だけで、エミリーは肩を揺らした。
「行こう」
ぼそりと呟いた声に、返事はなかった。