クールな王子は強引に溺愛する

 クリフォード辺境伯領へ向かう道でも、ふたりとも口を閉ざしたまま。歩いて帰れるのなら、エミリーはそうしていただろう。

 リアムは自責の念に駆られていた。衝動を抑えられず、エミリーの信頼を失ってしまった。行きではリアムに遠慮気味に預けていた背中も、今は精一杯に離されている。

 なにをやっているのか。嫉妬に狂い、無理矢理に。俺は。

 次こそは心が通じてからにしようと、そう誓っていた。それなのに……。

 まもなく森を抜けそうになるところで、グレイソンが慌てた様子で馬を走らせてきた。

「リアム様! 爵位剥奪が決定いたしました!」

 喜びの表情で伝えるグレイソンに呼応して、リアムも興奮気味に言う。

「そうか! やっとだな。ご苦労だった」

「いえ。わたくしはなにも」

 背筋を伸ばし敬礼をするグレイソンに、リアムも答礼を返す。頷き合い、互いに喜びを噛みしめた。

 にわかに活気付いた道中。けれどエミリーとリアムとの間の溝は埋まらぬまま。
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