クールな王子は強引に溺愛する

 クリフォード家の屋敷に戻り、馬から降りるためエミリーに手を差し出すと、エミリーは素直にその手を握った。

「ありがとう、ございます」

 礼など。あんな振る舞いをした俺に、エミリーは優し過ぎる。

「少し、話せるか」

「はい」

 言葉少なに部屋へと進み、長椅子に腰掛ける。エミリーは控えめに長椅子の端に腰を下ろした。

 手を伸ばすと、エミリーは反射的に身を引いて距離を取る。

「す、すみません」

「いや」

 手は虚しく宙を掴み、拳を握り下げられる。

 エミリーは未だ震えそうな体を、気付かれないように縮こませた。

 乗馬中のリアム様を怖いと思った。とてつもない速さで馬を走らせ、その上……。リアム様に触れてほしいと思っていたはずなのに。心あらずな様子に恐怖を感じた。

 私は、触れられるだけじゃなく、リアム様のお心までほしいと願っているのだわ。お側にいられるだけで十分幸せだと、そう割り切っているつもりだったのに。

「安心するといい。プラムはすぐにでも取りに行けるよう取り計ろう。俺がクリフォード辺境伯になるのを待っていては、プラムは下に落ちてしまう」

 そこまで気にかけてくださって……。
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