クールな王子は強引に溺愛する
リアムはふたりの開いた距離にやるせない思いで下唇を噛み、話すべきときが来た出来事を口にする。
「キッシンジャー卿が爵位を失い、失墜した」
「え」
先ほどグレイソンと話していた『爵位剥奪』とはキッシンジャー卿のことだったのだ。
目を見張っているエミリーに対し、リアムは先ほどのグレイソンとの歓喜もどこかにしまい冷静な表情をしている。
「なにから話せばいい。やっと話せるな」
「その、どうして。と聞いてもよろしいのでしょうか」
考える素振りをしてから、リアムは重い口を開く。
「キッシンジャー卿がエミリーを自分の妻に迎えようとしていたのは、知っているか」
「それは、はい。キッシンジャー卿本人が、そう仰られて」
蔑まれた言動まで呼び起こされ、惨めな気持ちになる。横柄で卑しい目つきのキッシンジャー卿がありありと目に浮かぶ。