クールな王子は強引に溺愛する
リアムは淡々と事実を並べる。
「裏帳簿を暴いた。キッシンジャー卿は自らの策に溺れ、身を滅ぼす結果となった」
しんと静かになった沈黙の中で、なにを言えばいいのか言葉が出ない。リアムはフッと表情を緩め、エミリーに向き合う。
「動かぬ証拠を突きつけるまでに時間がかかり、エミリーにも嫌な思いをさせたな」
温かい眼差しも今は真っ直ぐに見られずに、俯きがちに応える。
「いえ。リアム様は守ってくださいましたわ」
「これで心残りだった仕事もひと段落した。時間に余裕も出るだろう」
エミリーの瞳は不安げに揺れる。もう、リアムに『エミリーを守る』という大義名分もなくなった。
「エミリーの父上に狩猟をご一緒できないか、聞いてみなければな」
「はい。父も喜ぶと思います」
父と親しくしようとするのは、怪しい動きをしていないか、内情を探るため?
そうじゃない。リアム様はそんな人じゃない。そう思いたいのに、父と懇意にしようとする姿を、純粋な気持ちで見られない。
ジャム作りに興味を示したのも、単純な好奇心と思っていたのに、不正がないのかを暴くためかもしれない。
したくない想像は、疑いの目で見ると全てがそうだと思えてくる。
リアム様を信じたい。エストレリアを救うため、昔を知る自分を不憫に思ったから結婚を申し出てくれたのだと。
多少なりともの情愛があり、私だからこそ求婚してくれたのだと。