クールな王子は強引に溺愛する
部屋に戻り、眠る準備を済ませたふたりはいつもの流れで長椅子に座った。
「エミリー。緊張していたのか?」
「え?」
クリフォード卿は大らかな人物で、昔から親同士も親しくしていた間柄のため、緊張はしない。
それとは全く違う部分に気持ちが行き、食事に集中できなかった。
どうしてリアムはジェシカに求婚しなかったのか。
わかってはいる。自分に求婚したのは、私を助けるためだ。
「どうした。夜食を用意させるか?」
エミリーは首を横に振り、こちらを見ようともしない。いつの日かの虚なエミリーの姿と重なる。
俺に触れられたのが、それほど嫌だったのか。
そんな疑念がリアムの心を蝕んでいく。
「クリフォード辺境伯になられるのが、『夢』だったのですよね?」
エミリーの質問に頷いてみせる。
「兄のバージルを辺境伯として支えたいと、話したと思うが」
なにを考えているのか、エミリーの心が掴めない。