クールな王子は強引に溺愛する

 枯渇した心は、言うつもりのなかった思いを責めるような形で告げさせる。

「自分はどうなのだ。親しい男がいないわけでもないようだったが」

 エミリーは親しい男と言われ、思い当たる人物が浮かばない。

「ローレンスは、年上過ぎます。それにメイソンも。えっと……あっ」

 それからカッと顔が熱くなった。

「隠さなくともよい。どうせ叶わぬ関係だ。それに……純潔であると証明もされた」

「違います! 私はただリアム様がご自分の想いを犠牲にしてまで、私に求婚したのではと」

 その真実が白日に晒されたとて、どうなるのだろう。私は、私は……。

「気に入らないな。ひとり自己完結して。俺の意見は必要ないと言いたいのか。エミリーを選んだ俺を信じられないと」

 肩を掴まれ訴えられる。向けられる眼差しはショックを受け悲しそうに見える。

 そう思えるのは自分の願望が織り交ぜられ、湾曲して映っているせいだろう。

 しかし、エミリーを選び結婚した。その事実は揺るぎない。

 それだけでいいと思っていたのに。今はその事実にほんの少しだけでいい。ほんの少しだけでもリアムが自分を愛していてくれたら。

 リアムに愛されているのだと信じられたら、どれだけ幸せだろう。

 掴んでいた手は力なく外され、視線も外される。

「無駄話が過ぎたな。寝よう」

 自分との話を無駄話として片付けられてしまい、背を向けて横になるリアムにエミリーは寂しさを募らせた。
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