クールな王子は強引に溺愛する

 エミリーが眠ると、部屋を抜け出したリアムは執務室にと割り当てられた部屋にいた。

「こんなところでなにをされているのですか?」

 深夜の訪問は煩わしいのが目に見えていて、眉根を寄せ邪険に扱う。

「グレイソン。お前はどうしてこうも俺の息抜きの時間を邪魔するのだ」

「ひとり酒は寂しいでしょう。わたくしが付き合いますゆえ」

 了承を得ないままグレイソンは執務室に入り、手にしていたグラスに勝手にブランデーを注いでいる。琥珀色の液体が揺れ、グラスの底を満たす。

「どうせ要らぬ口出しをしに来たのだろう」

「助言と言っていただきたいですね」

 リアムは椅子の背に体を預け天を仰ぎ、グレイソンは弧を描くようにグラスを弄んでいる。

「それで、『全てが片付いたら話す』と豪語されていた"話"とやらは済まされたのですか?」

「済ませたように見えぬから、聞いているのだろう?」

 こんな状況で話してなんになる。

 いっそ無理矢理にでも抱いてしまおうかとも思った。けれど触れれば、元の木網なのは目に見えている。手に入るのは人形のようなエミリー。

 空虚なだけなのは、誰よりも心得ていた。
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