クールな王子は強引に溺愛する
カーテンを開ける音に目を覚ます。まぶしい光に顔をしかめ、シーツを手繰り寄せる。
「エミリー様。リアム様は既に起きておいでです」
モリーは動き回り、朝の支度を整えている。桶に水を張り、ベッドの近くまで運ばれる。
「昨晩は祝杯を密やかに上げたらしいです。その、グレイソン様と」
どこかぎこちなく告げるモリーが微笑ましい。『グレイソン様が麗しく』と聞いた日から、その話はふたりの間でなかったことにはなっているが、どことなく互いに意識し合っている。
そしてエミリーは、ベッドの片側が随分前から冷たくなっていたのだと知る。
「祝杯……。そうなの。私の前では、少しもうれしそうな素振りを感じさせていただけなかったわ」
喜びも悲しみも分け合える夫婦でありたかった。