クールな王子は強引に溺愛する
リアムは『時間に余裕も出るだろう』と言ったが、その言葉に反し慌ただしく日々は過ぎた。
リアムがクリフォード辺境伯になるための準備が着々と進められている。しかしその方が余計な思考に陥らなくて済み、エミリーは助かっていた。
ただ自分の隣にいるリアムがジェシカと親しく話しているのを目の当たりにする日々は、じわじわとエミリーの心を蝕んだ。
「キャッ」
なにかに躓きよろめいたエミリーに、リアムはすかさず手を差し伸べた。
ジェシカと話していても、エミリーの異変に気付くリアムの細やかさに、ささくれていた心が解けていくのを感じる。
控えめに支えられるもどかしさから、その手にしっかりと頼り切ると、リアムはその重みに応えるように腰に腕を回した。
「ふらついて、疲れているのか?」
久しぶりに近くで見上げた双眼は深く碧くこちらを見つめる。ただ自分だけを映すその瞳に頬を染める。