クールな王子は強引に溺愛する

 真っ直ぐに見つめていると、リアムはふいっと視線を逸らし、空いている手の方で口元を覆う。

「あまり見つめるな。口付けたくなる」

 ぶわっと顔に熱が集まって、リアムの胸元に顔を埋める。

「夫婦ですのに」

「ん?」

「口付けてはいけないのですか?」

 頬を染め、清らかなエメラルドグリーンの瞳は潤み、今一度リアムを見上げる。

 引き寄せられるように顔を近づけ、控えめに触れさせる。小さく赤い唇の感触は胸を疼かせ、鼓動を速めさせた。

「部屋で休むといい」

 短く言って、エミリーを連れて行く。柔らかな温もりが、自ら体を預け腕の中にある喜びを噛み締める。

 部屋に入るとベッドに横たわらせ、シーツの上に豊かに広がる髪に触れる。艶やかなその髪から離しがたい思いを振り払うと、頭を数度撫でた手をエミリーの額にずらす。

 穢れなく向けられる眼差しを隠してから、再び口付けた。

「リアム様?」

 不安げな声を聞き体を離すと、顔を背けたまま言い訳を口にする。

「グレイソンから報告があると言われている。行ってくる」

 それだけ言うと、返事を待たぬまま退室した。
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