クールな王子は強引に溺愛する
夕食の時間には父と母、それに小さな弟とともにテーブルを囲む。いつもの和やかな光景のはずが、今日はどことなく緊張感に包まれていると思うのは考え過ぎだろうか。
鎮痛な面持ちで父が話し出した言葉は、想像したどれとも違うまさに寝耳に水の内容だった。
「すまない。我が領地、エストレリア伯領は王国に反故する反逆因子だと疑われている。どんなに誠意を尽くして違うと訴えても疑いを晴らせず、不甲斐ない」
唐突に謝られ頭を下げられても、全く話の全容が掴めない。
「どうしてそのような……」
声を詰まらせると、父は理由を口にした。
「我が領地の財政難は解消されつつある。エミリー、ずいぶん頑張ってくれているね。しかしそれがどうしてか裏目に出てしまった」
うれしい褒め言葉も、今は素直に聞いていられない。父の瞳が悲しく揺れている。
「エミリーにいくつか縁談が申し込まれた」
話の流れにそぐわない知らせは、どう返せばいいのか反応に困る。
眉尻を下げ、父を真っ直ぐに見つめていると、やっとほんの少しだけ想像した未来を告げられた。