クールな王子は強引に溺愛する

「その中には、アンベリール王国第二王子リアム様からの求婚があった。我々は立場上、断ることはできない。受けてくれるね」

 真っ直ぐに見つめる父の眼差しを見つめ返す。父はエミリーが生涯結婚を考えていない決意を知っている。
 その上で、『求婚を受けてくれるね』と娘に言わなければならない父の胸中を考えると心苦しくなった。

「リアム様はどうしてそのような……」

 思いがそのまま口を出て、語尾が弱くなる。

 リアムは王族。エミリーの家は伯爵。小さな伯爵家が、王族のリアムからの申し入れをこちらからは断れない。申し入れがあった時点で決定事項のようなもの。つまりそれはそのまま二人の結婚を意味する。

 アンベリール王国第二王子のリアムともなれば、もっと大きな領地の伯爵令嬢でも、隣国との友好関係を結ぶにふさわしい美しい姫でもいい。リアムにはもっと条件のいい女性がいるはずだ。

 父はエミリーの呟きに答える。

「王国反逆の疑いがかけられ、それを晴らすためにエストレリア伯爵家と王族と良好な関係であると内外に示すためだ」

 そのためにリアムは自身を犠牲にしてまで、エミリーと結婚してエストレリア伯爵家を救ってくれようとしているのだろうか。
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