クールな王子は強引に溺愛する

「エミリーお姉様!」

 食事を終え、部屋に戻ろうとするエミリーを弟のブライアンが呼び止めた。

 ブライアンは父によく似た濃いブラウンの短い巻き毛を揺らし、大きく澄んだ薄いグレーの瞳を見開いてこちらを見上げていた。

「なあに? ブライアン。今日は乗馬のお稽古だったんですって? 上手く乗れるようになったかしら」

 ブライアンは若干五歳。それでも次期領主としての勉学に励んでいる。

 心根の優しいブライアンは争い事は苦手。どちらかと言えば外で元気に遊ぶよりも、室内で大人しく本を読んでいたいタイプだ。

 だから乗馬にも苦心しているようだとモリー伝えに聞いていた。

「お父様が僕と同じ栗毛の馬をお選びくださって。今日は仲良くなれそうでしたよ」

「そう。良かったわね」

 顔いっぱいの笑みにこちらの頬も緩む。優しいブライアンの性格が馬にも伝わるだろう。乗れるようになったと嬉しい報告を聞くのも近いかもしれない。
< 21 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop