クールな王子は強引に溺愛する

「リアム様!」

「ああ、わかっている」

 僅かに苛立ちの滲む声を聞き、エミリーの方から体を離す。髪はリアムの手から滑り落ち、ハラハラと頬にかかった。

「大切な会食なのですね。お引き留めして、すみません」

「ああ」

 今度こそリアムはエミリーから体を離し、扉へと歩んでいく。エミリーは行き場をなくした腕を自分の体に巻き付け、寂しさを紛らわす。

 扉の前まで来るとリアムは振り返り、愛を告げた。

「戻るのは遅くなるだろう。先に眠っていてくれ。愛している、エミリー」

 胸に愛おしさが広がり、閉まり行く扉の向こうに消える背中を見送る。リアムの耳に届かないのはわかっているけれど、想いが口からこぼれ落ちた。

「私も愛しております。リアム様」
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