クールな王子は強引に溺愛する

 エミリーは目を丸くして、自身に着せられたドレスを鏡越しに見る。

「これほど高級で贅沢なドレスを夜着だなんて」

「俺以外を誘惑するデザインは禁止だ。どのラインまでかは、そうだな。印をつけよう」

 妖しく細められた視線に、肩を揺らす。仕立て屋たちはなにかを感じ取り、静かに退出していく。

「あの、リアム様。ドレスには針が」

「心配するな。エミリーが動かなければ平気だ」

 動かなければ。それは無理難題というものだ。

 リアムは僅かでも時間ができると、エミリーに会いに来た。そして、誰といようとどこにいようとエミリーを愛でる。見つめるだけのときもあれば、口付けるときもあり、抱き寄せ肌にキスを落とすときもある。

 日に日に過剰になる触れ合いは、もはや周りの人物に密やかに『リアム様が現れた際は静かに離れること』と、通達が回るほど艶かしくなりつつあった。
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