クールな王子は強引に溺愛する

 式典の日が迫り、どうしても日程が間に合わないため、エミリーだけ先に侍女と共に向かった。リアムは後ほど合流する運びとなった。

 それほどに時間が押し迫っている中で、合間を縫って会いにきていたのだと知り、リアムの愛情の深さを垣間見た気がした。

 王都に近づくにつれ、気温の変化を肌で感じる。夏も間近になり、カラッとした暑さが特徴のエストレリアやクリフォード地方に比べ、王都は北にあるためにまだまだ涼しい。

 避暑的な意味合いもあり、社交界で開かれる夜会も北へ北へと移動している。エミリーにしてみれば、季節に合わせ暮らす場所を変えられるほどの贅沢は未だに合いそうにない。

 無事に城内に入ると既に到着していたリアムに出迎えられた。その隣にはバージルが立っており、直々に出迎えられる。

「エミリー妃、どうやら無理を言ったようだ。すまなかったね」

 甘いマスクで言われ、腰を低くした挨拶をしつつも、戸惑いがちにリアムに視線を向ける。エミリー妃と呼ばれるのは、どこか居心地が悪い。
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