クールな王子は強引に溺愛する
部屋に入るとモリーに手伝ってもらい、ドレスに手をかけた。脱ぎながら先ほどのブライアンの様子を思い出し、ひとり呟く。
「ブライアンに愛を語られるだなんて。ううん。幼いブライアンだからこそ、愛を語れるのね」
伯爵家に生まれたのだから政略結婚は当たり前。絵姿でしか姿を知らない殿方の元へ嫁ぐのでさえ、日常茶飯事だ。
尚且つエストレリア伯爵家のような貧乏貴族では、親子ほど歳の離れた潤沢な資金のある伯爵家への輿入れも珍しくない。
「リアム様の愛を信じておいでではないのですか?」
モリーの再三の訴えにエミリーは肩を竦める。
「愛があるといいわね」
反逆の疑いをかけられたエストレリア伯爵家に情けをかけ、友好関係を築こうとしてくれている。そこに情愛はあれど、男女の愛とは別の物だ。
不満顔のモリーに明朝の予定を伝える。
「明日は朝早くに修道院に行こうと思うの」
「そう、ですか。承知いたしました。お供いたします」
「ありがとう」
修道院はエストレリア伯領の端にある。歩いて行ける距離ではないため馬車を使わなれば行けず、頻繁に赴けるところではない。
明日の予定を決め、心が安まるような気がした。神のご加護がありますようにと、祈りを込めながら眠りについた。