クールな王子は強引に溺愛する

 懐かしい思いにもなる部屋に入るとすぐ、リアムに後ろから抱き竦められる。肩を揺らすと笑われた。

「なにも取って食おうとは思っていない。式典は明日だ。さすがに今日はよく寝た方がいい」

 深読みをすればそれこそ眠れなくなりそうで、敢えて額面通りの言葉として受け取る。

「はい。リアム様も、早馬で王都までは大変でしたでしょう。お休みになられてください」

「ああ、そうだな」

 互いに着替えを済ませ、リラックスした状態で長椅子に座る。明日の式典に備えるため、各々で食事を取ることになっている。

「バージル様はリアム様のお姿を見て、結婚を決められたのですか?」

 バージルの相手はいつの日かの噂話で聞いた隣国の麗しい姫君だ。強大な資金のある隣国ラルジュ王国との友好関係を強化させる取り決めは、実に重要な外交項目。

 しかし噂ではその役割はリアムであったはずで、リアムがエミリーを選んだためにバージルが政略結婚したのかもしれない。

 その思いが『第一王子バージルの成婚報告式典』に対し、少々複雑な思いを抱かせる。
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