クールな王子は強引に溺愛する
「ただただ、リアム様への想いを断ち切るためですわ。神に仕えさえすればと。逃げたかっただけなんです。いつか、リアム様が相応しい女性とご結婚されたとしても、心穏やかに祝福できるよう」
弱々しい声は遮られ、強く抱きしめられる。腕を回される度に感じる、逞しく頼りがいのある大きな体に包まれる。
しばらく抱きしめられた後、顔を覗き込み額を擦り付け、改めて宣言される。
「離さないから覚悟しろ」
「……はい」
ゆっくりと唇が触れ合い、まるで誓いのキスのように重ねられる。
それから口を僅かに離し、リアムはぼやく。
「兄上が憎くて堪らない」
「喧嘩を、されたのですか?」
あれほど仲の良さそうな関係で、恨みを持つ間柄には思えない。
「いや、明日の式典に出たくないだけだ」
「リアム様も、式典に緊張されたりするのですね」
エミリーとしては脇役なのは十分心得ているが、観客としてではなく式典に参列するのは、恐れ多く緊張してしまう。