クールな王子は強引に溺愛する

 部屋に戻り、改めてリアムと向き合う。正式な王国の式典でのリアムは未だ軍服が正装らしく、今日もそれを身につけている。群青色の堅い装いが鎧のようで近寄り難いと、思っていた。それなのに。

 堅い軍服を凌駕するほどの色気を醸し出すリアムはエミリーの手を引き、軍服のボタンへといざなう。

 つたない仕草でボタンをひとつひとつ外していると、リアムは背中に手を回し締め上げてあるドレスの紐を解いていく。
 緩く解かれたドレスは足元に花を咲かせたように広がり落ち、パニエに、コルセットと、順に下へと落ちていく。

 リアムもボタンを全て開け、中のシャツもおざなりに肩に掛かっているだけの姿は、どこに視線を向ければいいのか、目のやり場に困る。

 透けるほど薄いシュミーズはかろうじて脱がされなかったが、それでも心許なくリアムに寄りかかる。

「ベッドへ参ろうか」

 促され、小さく頷くとエスコートされ、ベッドへと腰を下ろす。群青色の軍服を脱ぎ去り、シャツだけ羽織るリアムが優しく唇を重ね合わせた。
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