クールな王子は強引に溺愛する

「やはりエミリーが主導で行っていたのだね。エストレリア卿は、この帳簿の存在をご存じなかった」

 厳しい表情から一転、頬を緩めたリアムが諭すように続ける。

「全て話してくれないか。俺はエミリーを信じている」

 エミリーは唇をわななかせ、「体を溶かし、懐柔させようとしていらっしゃるのに?」と嘆く。

「誑し込まれているのは俺であろう。すっかりエミリーの体なしではいられない」

 手は妖しく伸ばされ、太腿を撫でる。

「修道院」

 リアムの発した単語に、エミリーは表情を硬くする。

「あの礼拝堂で結婚式を挙げるつもりだった。男子禁制の修道院とは、知らなかった」

 思い出深い修道院。そこでリアムと結婚式を挙げられたら、どれだけ素敵だろう。

 しかしエミリーは観念するように口を開く。
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