クールな王子は強引に溺愛する
「失敗続きで、とても計上できなかっただけですわ」
「ああ、そうか」
全て知っているのだ。そう悟って一切を白日の下に晒す。
「希少価値のある植物を育てられれば、エストレリアの新たな名産になると」
「ああ」
言葉少なに相槌を打つリアムの顔を見れぬまま、打ち明ける。
「胡椒を育てられたらと」
胡椒は遠い国から稀に入ってくる貴重品で、手に入れるのは難しい。暑い気候の場所で育つと聞きつけ、それならばと思った。
農場で働くブライアンたちは手一杯で、新しくお願いするのは気が引けた。そのため養蜂を頼む際に相談した修道院で、修道長が『試行錯誤しながら育ててみましょう』と買って出てくれたのだ。
それを知っていて、リアムはこのタイミングで修道院の話題を出したのだろう。声が震える。