クールな王子は強引に溺愛する

「肝に銘じましたわ。いくらお父様が胡椒を好きだからと言って、庭先でとれたらという安易な考えでは育たないのですね」

「ああ。しかし、やらないよりやった方がいい。何事もな。胡椒は無謀ではあったが、野苺ジャムや蜂蜜、それにプラムのジャムも売り出したではないか。エストレリア卿も感心していたぞ」

「多少は貢献できたでしょうか」

 リアムは頬を緩め、エミリーの額にキスを落とす。

「俺が助ける必要がないのではと、冷や冷やするほどにな」

 助けてもらわなければ立ち行かなかった。お世辞だとわかってはいるがリアムから認められた発言をされ、心は浮ついてしまう。

「俺がどれほどエミリーを愛しているか伝わったか?」

 くすぐったさに肩を縮めエミリーは意見する。

「リアム様は物好きですわ」

「『レシアス』と呼ぶのではないのか」

「それは、閨の中でだけです」

 そう憎まれ口をたたくと、リアムの目が妖しく光る。
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