クールな王子は強引に溺愛する

 妖しく細められる眼差しに抗えず、情欲に翻弄され堕ちていく。リアムの指先は秘められた場所へと伸び、思わず声を漏らす。

「リアム様……。まっ、て」

 声は甘さを帯びて体にまとわりつく。

「散々待ったと言ったはずだが?」

 耐えきれない刺激から逃れようと身動げば、リアムにより近づいて囚われる。

「落ち着いた暁には、仕事は夜まで持ち越さないという公約をクリフォード辺境伯領では打ち立てよう」

「でも皆さんとの会食が」

「そんなもの昼にすればいい。夜は全てエミリーとの時間にする」

 返事をしようにも甘く絡め取られ、声にならない。

「何事も領主からやらなければ、住み良い領地にはならないであろう?」

 リアムの言葉の意味を捉えようにも、官能の波に溺れ思考は流されてしまう。今はただリアムの熱を感じ、抗えない欲情に恥ずかしさも忘れ自ら求め交わりあった。
< 264 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop