クールな王子は強引に溺愛する

 目の回るような素早さで支度を済ませ屋敷の外へ出ると、豪華な馬車が止められていた。二頭立ての四輪馬車は客車の部分にしっかりとした屋根がついており、扉に装飾された紋章が光り輝いている。

 獅子の付く紋章は、由緒正しい王家イグレシアス家を表すものだ。煌めく紋章は神々しくもあった。

 王国からの迎えの馬車。その事実がどこか夢見がちだったエミリーに、一気にリアムとの婚礼に現実味を帯びさせる。

 馬車の奥に目を向けると、鞍のついた馬がリアムの黒毛馬と並んで繋がれていた。その側に立つ青年がリアムに詰め寄る。

「リアム様。あれほど単独行動はおやめくださいとお願いしたではありませんか」

「国の元帥が護衛をつけていては笑い種だ」

 従者なのだろうか、リアムと同じ深い群青色の軍服を身につけている。
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