クールな王子は強引に溺愛する
エミリーと別れ、グレイソンと並走していると未だにグレイソンは言い足りない様子で小言を垂れ流している。
「だいたいリアム様は王子としての自覚が足りないのです」
『自覚はある』と言えば『どこがですか!』と文句を言われ、『自覚など必要ない』と言ったところで、文句を言われる。
ここはなにも言わないに限るのだと、長年の付き合いで悟っている。
「エミリー様との念願の再会は、思い描いた理想通りに進められましたでしょうか?」
毛色の違う質問に、チラリとグレイソンを一瞥すると、グレイソンは苦笑する。
「泣く子も黙るリアム元帥も、名だたるご令嬢を腰砕けにさせてきたリアム王子も、恋の前では無力でしたか」
軽口が過ぎるグレイソンに冷めた視線を送る。
「何とでも言え。今の状況でどの面を下げて愛を囁けと言うのか」
できるのなら、感動の再会を果たしたかった。
そもそも泣く子も黙るなどと、適当に言われている噂話に過ぎず、名だたるご令嬢を……に至っては勝手に尾ヒレが付いただけに過ぎない。