クールな王子は強引に溺愛する
どれだけ言葉を交わしても足りない気がして、振り切るように馬車を出してもらった。
馬車が屋敷から離れると、堪えていた涙が頬を伝う。
「ご立派でした。エミリー様」
モリーに抱き寄せられ、涙が止めどなく溢れる。
「どのような時でもこのモリーが側に仕えさせていただきます。モリーはいつでもエミリー様の味方でございます」
「モリー。ありがとう。とても心強いわ」
「お疲れでしょうから、少し休まれてください。高級な四輪馬車の揺れは、居眠りにちょうど良さそうですよ」
「そうみたいね。さすが王国の馬車は違うわ」
二人は顔を見合わせて笑い合った。小さな話題で笑い合える今を心から有り難いと思った。
エミリーはモリーの言葉に甘え、まぶたを閉じる。怒涛の一日だった今日。気が緩んだのか、すぐに夢の世界へと入っていった。