クールな王子は強引に溺愛する

 どれだけ言葉を交わしても足りない気がして、振り切るように馬車を出してもらった。

 馬車が屋敷から離れると、堪えていた涙が頬を伝う。

「ご立派でした。エミリー様」

 モリーに抱き寄せられ、涙が止めどなく溢れる。

「どのような時でもこのモリーが側に仕えさせていただきます。モリーはいつでもエミリー様の味方でございます」

「モリー。ありがとう。とても心強いわ」

「お疲れでしょうから、少し休まれてください。高級な四輪馬車の揺れは、居眠りにちょうど良さそうですよ」

「そうみたいね。さすが王国の馬車は違うわ」

 二人は顔を見合わせて笑い合った。小さな話題で笑い合える今を心から有り難いと思った。

 エミリーはモリーの言葉に甘え、まぶたを閉じる。怒涛の一日だった今日。気が緩んだのか、すぐに夢の世界へと入っていった。
< 44 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop