クールな王子は強引に溺愛する

 宿は大きな貴族の屋敷で客室を貸し出された。貴族間ではよくある流儀で、社交界のために王都へ出向く際にも懇意にしている伯爵家に宿泊させてもらう。

 ただ、エストレリア伯爵家は弱小領地の上に貧乏貴族。懇意にする伯爵家もなく、エミリーたちが王都へ出向く際は宿場町の小さな宿を借りてやり過ごした。

 このような待遇はもちろん王国の手配だからだ。わかっていた格の違いを肌で感じ、居た堪れない思いになる。

「どうした。なにか気に入らぬか」

 リアムの深い碧眼の眼差しが、こちらを窺うように向けられる。

 落ち合う宿を示し合わせていた馬車の御者とリアム達とは、無事に貴族の屋敷で会うことができた。

 泊まらせてもらえるだけでなく至れり尽くせりの対応をされたのも、全てはリアムがいたからであろう。エミリーに惨めな思いをさせないために、同じ宿にしたのかもしれないとさえ思うリアムの配慮は身に余る光栄だ。
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