クールな王子は強引に溺愛する
「本日をもって、エミリーを我が妻と同等の立場のものとする。と、言ったはずだが?」
叱責するような口調にエミリーは体を固くする。手が伸び、髪をひと筋掬うと体をビクリと揺らした。
「仮にも俺は第二王子だ。その婚約者となれば命を狙われかねない。特に夜は危険だ」
髪に神経などないはずなのに、掬われた髪に唇を寄せたリアムの感触を感じるような気がして全身が熱くなる。
「なにより周りにこの結婚は本当だと、信じ込ませる必要がある」
「信じ込ませる?」
「ああ、エミリー、きみもそうならないと困るのだろう?」
忘れてはいけない。自分はエストレリア伯領を救うために、この場にいるのだから。
「はい。エストレリア家を救っていただき、ありがとうございます。お礼が遅くなり誠に申し訳ありません」
エミリーの言葉を聞き、リアムは手に取っていた髪から手を離した。
わかっていたことだ。エミリーは伯爵家のため、泣く泣く自分の元に嫁ぐ決意をしたのだ。
リアムは苦虫を噛み潰したような心持ちになり、グッと拳を握った。