クールな王子は強引に溺愛する
エミリーは未だ熱い顔を押さえ、小さくため息をついた。
この程度で恥ずかしがっているだなんて、リアム様に呆れられてしまうわ。
いつでもリアムは平然とした顔をしている。
突然求婚してきたときも、同じ部屋で寝たときも、陛下に謁見するときだって。そして『二人の閨だ』と言うときも。
リアムにとって、それらは取るに足らない事柄であると言われているような気がして寂しく思った。
旅の途中、同じ部屋で話す度に縮んだと思っていた距離は、城に入ってからどこかよそよそしく離れてしまったように感じた。
扉がノックされ、心臓が飛び上がる。上擦った声で「はい」と返事をすると「モリーにございます」と聞き慣れた声が答えた。
「どうぞ」
安心できる見知った顔が入ってきても、今はどうしてかため息が漏れそうになる。
「エミリー様。「なーんだ、モリーか」ってお顔に書いてありますわ」
「そ、そんなわけ」
焦って両手を頬に押し当てると、モリーに笑われる。
「気分転換にお散歩でもなさいませんか? お庭がとても素敵ですわ」
リアムにも『ひとりで出歩かないのであれば城を探索してもらって構わない』と言われた。
エミリーはモリーの提案を聞き入れ、庭を見て回ろうと立ち上がった。