クールな王子は強引に溺愛する

「我が妻を侮辱するのは、我を侮辱するのと同等と弁えよと、忠告したはずだが?」

 人をも殺めそうな冷淡な声を聞き、キッシンジャー卿も怯んだように見えた。しかしそれは一瞬だけだった。

「エミリー嬢は修道女になろうとしていたほどに、敬虔なクリスチャンだと伺いました。夫になるべき男性以外と関係を持った場合、どうなるか」

 どういう……。

 エミリーが意味を理解できないでいると、キッシンジャー卿は尚も続ける。

「なにより、アンベリール王国の第二王子ともあろうお方の婚約者が純潔でなかったと知れたら、大ごとでございますね」

 カアッと全身が熱くなり「純潔ですわ!」と声高らかに宣言したくなったとき、凄まじい力でリアムに手を掴まれた。

「忠告、感謝する。今すぐにそれらを証明しよう」

 握られた手を引かれ、リアムに連れられる。

「あ、あの。リアム様っ!」

 駆け出した足元ではドレスの裾が翻弄されるように舞う。
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