クールな王子は強引に溺愛する

「神に誓いも立てた。俺たちは正式に夫婦だ」

 私が敬虔なクリスチャンだから神父を?

 キリスト教では婚前交渉は認められていない。そして生涯ただひとりを愛さなればならない。

「ああっ! いやあ!」

 ドレスを無理矢理脱がされ、声を上げる。逃げ出したいのに押さえつけられて、逃れられない。光が遮られた空間の中で、ぼんやりと黒い髪がエミリーの体に近付いてくるのが見える。

 熱い手がエミリーの肌に触れ、体を捩る。執拗に掴まえる手は強引なのに、肌をなぞる指先はどこか戸惑いがちに優しく触れる。

 こんな優しさいらない。いっそ酷く奪ってくださればいいのに。

 頬を涙が伝うが、これがなんの涙なのかエミリーも分からなかった。
< 71 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop