クールな王子は強引に溺愛する

 お陰で純潔の証は鮮やかにシーツに零れ落ちた。しかし少しも喜びを感じなかった。傷つけた印にしかリアムには思えず、その真実から目を逸らしてしまいたかった。

「そのような! 貴方様のお気持ちは? 胸の内を伝えられたのですか⁉︎」

 グレイソンは必死に訴えるが、リアムには届かない。ただ冷めた様子で淡々と話すだけだった。

「無理に結婚を承諾させた。だからせめて気持ちが通じてから体を重ねたかった。それさえも……」

 僅かに後悔を滲ませるリアムが、グレイソンは不憫でならなかった。

「俺がこのような立場でなかったら、もっとエミリーと心から愛し合い、幸せにしてやれたかもしれない」

 リアムは手の甲が白くなるほどに拳をきつく握り、奥歯をギリリと噛み締める。

「しかしリアム様だからこそ、エミリー様を救えたのです。それを夢夢お忘れになりませぬよう」

 グレイソンの言葉に小さく笑う。

「そうだったな。皮肉なものだ」
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