クールな王子は強引に溺愛する

 伯爵の中でも力のあるキッシンジャー卿の求婚を跳ね除け、自身との婚約話を進められたのは、伯爵よりも地位の高い王族だからこそ。

 そのためにエミリーがリアムとの結婚を断れなかったとしても、キッシンジャー卿の魔の手から救えたのは事実。

「執務室で仕事の続きでもするつもりだ。グレイソン、お前は休め」

「お供いたします。久しぶりにチェスなどいかがでしょう」

「ハッ。仕事の続きをすると言ったであろう」

「今の気怠げなリアム様になら、わたくしめにも勝機がありそうでございますから」

 軽口を叩くグレイソンに口の端を上げる。

「大口を叩いたな。よし。なにを賭けようか」

 昔の悪友のような間柄の頃の表情を見せるリアムに、グレイソンは心の中でホッと息をついた。
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