クールな王子は強引に溺愛する

 エミリーは体を拭かれている感覚をぼんやりと感じて「いやっ!」と反射的に手を払い除ける。

 目を開けると悲しそうに顔を歪めたモリーと目が合った。

「モリー。あなただったのね。ごめんなさい」

「いえ。体を綺麗にさせていただきますから、じっとなさってください」

「それなら、湯浴みを……」

 体を起こそうとすると、体の奥に疼痛を感じ、顔をしかめる。

「体がお辛いでしょうから、今日はベッドで過ごされるようにと」

「……それは、リアム様が?」

 黙ってしまったモリーは、エミリーの体を拭く手を無言で再び動かし始めた。

 首だけを動かし、部屋を見渡すとテーブルに花が生けてあった。

「綺麗な花ね」

「あんな花でご機嫌を取ろうなどと」

 怒り心頭している様子のモリーを見つめ、エミリーはどうしてか笑みをこぼす。

「ど、どうして笑われているのです? リアム様なら優しくしてくださるとばかり……。エミリー様?」

 笑っていたはずなのに、目からはポロポロと涙がこぼれる。

「どうしもお嫌でしたら、隣の部屋で休まれても構わないと」

 ああ、隣の部屋はそういうときのためでもあるのかしら。
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