クールな王子は強引に溺愛する

 朝食も昼食もベッドで食べ、幾分気持ちも晴れやかになった頃、モリーも気持ちを切り替えたようで、どうしてか張り切っていた。

「この際、リアム様をエミリー様の虜にしてしまえばよろしいのですわ」

 思ってもみなかった提案にエミリーは吹き出した。

「どんな変わり身の早さなの? モリー」

「だって、リアム様ったら初夜にも関わらず、新妻を放っていかれるなんてと、憤慨していたのです」

 怒っていたのは、そこだったの?

 エミリーは呆れを通り越して、感心する思いでモリーを見つめる。

「今晩はリアム様を誘惑なさってくださいまし!」

「ゆ、誘惑って! どうやって!」

「エミリー様なら、大丈夫です! ささっ。夜着に着替えますよ!」

 具体的な案も提示しないで、どこからその自信が湧いてくるのか。相変わらずの楽天家のモリーに押され、着替えさせられた。

 シーツを被り、速まる心臓を抱えリアムが部屋を訪れるのを待つ。

 けれど待てど暮らせど、リアムは現れなかった。
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