クールな王子は強引に溺愛する

 キッシンジャー卿から守るために、閨を共にしたリアム。それならば一度で事足りるのだろう。

 そう結論づけ寂しさに襲われかけたとき、部屋の扉がノックされた。

「はい」

「俺だ」

 それは確かにリアムの声。萎れかけていた心は急激に早鐘を打つ。

「はい」

 返事をしても、一向に扉は開かない。

「あの、リアム様、ですよね?」

「……ああ」

「入られないのですか?」

 しばらく沈黙があり、去っていってしまったのかと思いかけたとき、口籠るような声が聞こえた。

「顔も見たくないのではないかと、思ってな」

 侍女に『エミリー様が閨でお待ちです』と言付けられ、リアムは信じられない思いでここに来た。

「滅相もない!」

 確かに朝、目が覚めたときにリアムの顔が目の前にあったら、悲鳴をあげてしまったかもしれない。

 モリーは『新妻を放って』と怒っていたが、冷静になれる距離を空けてくれたリアムに、エミリーは感謝さえしていた。
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