クールな王子は強引に溺愛する
そっと手を伸ばし、精悍な頬に触れようとするとその指先を捕まえられた。
「キャッ」
「寝込みを襲うとは大胆だな」
「そのようなつもりでは」
切れ長の双眼が妖しくエミリーを見つめる。それから視線を外され、伏せられた。
「無理をさせていた。すまない」
「そういうわけでは! あの、私にもなにかお仕事を……」
キッシンジャー卿の言う、『花嫁候補のご令嬢を束ねる』というような仕事ではなく、微力だとしてももっとリアム様の力になれそうな、なにか。
僅かでも支えたいと思う真摯な気持ちは、リアムの次の言葉で儚く散った。
「エミリーはなにもしなくてもよい。体を休めておけ」
なにも必要ないというの?
ただ、リアムを支えるのだと、それだけを思っていたエミリーは自分が愚か者だったのだと気付く。リアムは自分の助けなど必要としていなかった。